Home
キーツの肖像

ジョン・キーツ

John Keats

イギリス ロマン派 1795–1821

ジョン・キーツ概要

生涯

ジョン・キーツ(John Keats, 1795–1821)は、ロンドンに生まれたイギリス・ロマン派の詩人です。幼くして両親を亡くし、外科医の見習いとして医学を学びましたが、詩への情熱から文学の道を選びました。1818年頃から驚異的な創作力を発揮し、わずか1年余りの間にオード群をはじめとする傑作を次々と生み出しています。しかし結核に侵され、療養のため渡ったローマで1821年に25歳の若さで没しました。

詩の特徴

キーツの詩は、五感に訴える豊かな感覚的描写と、美と真理・生と死をめぐる深い哲学的思索が特徴です。「消極的受容力(ネガティブ・ケイパビリティ)」という概念を提唱し、不確実さや疑念の中にとどまる能力こそが詩人に必要だと説きました。古典ギリシアの美への憧憬と、死への予感に彩られた短い生涯が、その詩に独特の切迫感と輝きを与えています。

代表作

  • 『ナイチンゲールに寄せて』(Ode to a Nightingale, 1819)

夜鳴鳥の歌声に誘われて現実から離脱し、やがて再び現実に引き戻される詩人の意識の旅を描いたオードです。永遠の美と人間の死すべき運命との対比が、豊かな音楽性とともに展開されています。

  • 『ギリシアの壺に寄せて』(Ode on a Grecian Urn, 1819)

古代ギリシアの壺に描かれた場面を通して、芸術の永遠性と人間の一過性を問いかけるオードです。結末の「美は真なり、真は美なり」という一節は、英語詩で最も有名な詩行の一つとされています。

  • 『秋に寄せて』(To Autumn, 1819)

秋の豊穣と静かな衰退を三連で描いた、キーツのオード群の中でもとりわけ完成度の高い作品です。視覚・聴覚・触覚を駆使した描写により、季節そのものが眼前に立ち現れるような臨場感を生み出しています。

影響

キーツは生前にはほとんど評価されませんでしたが、ヴィクトリア朝以降、テニスンやラファエル前派の詩人たちに再発見され、英語詩の最高峰の一人として評価が確立しました。感覚的描写の技法はホプキンズやイェイツにも受け継がれ、20世紀の新批評派はキーツのオードを英語詩の理想的な作品として繰り返し論じています。

代表作

  • ナイチンゲールに寄せて (Ode to a Nightingale) 1819年
  • ギリシャの壺の賦 (Ode on a Grecian Urn) 1819年
  • 秋に寄せて (To Autumn) 1819年