Home
シェリーの肖像

パーシー・ビッシュ・シェリー

Percy Bysshe Shelley

イギリス ロマン派 1792–1822

パーシー・ビッシュ・シェリー概要

生涯

パーシー・ビッシュ・シェリー(1792年〜1822年)は、イングランド・サセックスの裕福な家庭に生まれました。オックスフォード大学に入学しましたが、無神論を主張するパンフレットを発表したことにより退学処分を受けます。その後、メアリー・ゴドウィン(後のメアリー・シェリー、『フランケンシュタイン』の著者)と駆け落ちし結婚しました。政治的迫害と社会的非難を避けるためイタリアに移住し、創作活動に没頭しましたが、1822年、ヴィアレッジョ沖でヨットが転覆し、わずか29歳で溺死しました。その短い生涯の中で、英文学史上最も美しい抒情詩の数々を残しています。

詩の特徴

シェリーの詩は、理想主義的で革命的な精神に貫かれています。圧政からの解放、人間の完全性への信仰、自然の崇高な力といったテーマを、流麗で音楽的な言葉で歌い上げました。自然描写と政治的ヴィジョンを巧みに融合させ、風や雲、山といった自然現象を自由と革命の象徴として用いる手法に優れています。また、「詩の擁護」(A Defence of Poetry)において「詩人は世界の認められざる立法者である」と宣言し、詩の社会的・政治的使命を高らかに主張しました。

代表作

  • 『鎖を解かれたプロメテウス』(Prometheus Unbound, 1820年)

ギリシャ神話のプロメテウスを題材とした四幕の叙情劇です。暴君ジュピターに対するプロメテウスの精神的勝利を描き、人類の解放と愛の力による再生という壮大なヴィジョンを展開しています。シェリーの理想主義の集大成ともいえる作品です。

  • 『西風に寄せるオード』(Ode to the West Wind, 1820年)

秋の激しい西風に語りかける形式のオードです。自然の破壊と再生の力を詩人自身の革命への情熱と重ね合わせ、「もし冬来たりなば、春遠からじ」という有名な一節で締めくくられます。テルツァ・リーマ(三行連句)を用いた緊密な構成と圧倒的な音楽性で知られています。

  • 『オジマンディアス』(Ozymandias, 1818年)

砂漠に朽ち果てた古代の巨大な彫像を描いたソネットです。かつての権力者の傲慢な碑文と、その周囲に広がる荒涼たる砂漠との対比を通じて、権力の無常と人間の驕りの虚しさを鮮やかに描き出しています。わずか14行の中に壮大なテーマを凝縮した、英語ソネットの最高傑作の一つです。

影響

シェリーの影響はヴィクトリア朝から現代に至るまで広く及んでいます。ロバート・ブラウニングはシェリーの詩に触発されて詩人を志し、トマス・ハーディはその自然観と宿命的な世界観に深い共鳴を示しました。W・B・イェイツはシェリーの象徴主義的手法と神話的想像力から大きな影響を受けています。また、シェリーの政治的理想主義は、後の社会主義運動や労働運動にも思想的影響を与え、詩人としてだけでなく思想家としても重要な存在であり続けています。

代表作

  • 鎖を解かれたプロメテウス (Prometheus Unbound) 1820年
  • 西風のオード (Ode to the West Wind) 1820年
  • オジマンディアス (Ozymandias) 1818年