詩と詩人

オデュッセイアを読む前に|登場人物と24歌の見取り図
読書コンパニオン
The Odyssey

物語の現在地

第1歌が始まる時点で、誰がどこにいるのかだけを確かめます。この先の展開と結末には触れません。

前史トロイア戦争は、すでに終わっている

物語の中心は戦争そのものではなく、その後の帰郷です。

出典 Encyclopaedia Britannica「Odyssey」/Encyclopaedia Britannica「Are the Odyssey and the Iliad connected?」

海オデュッセウスは、まだ故郷へ帰れない

帰りたいと願いながら、遠い島に引き留められています。

出典 Dickinson College Commentaries/MIT Classics/Encyclopaedia Britannica

イタケ妻と息子が待つ家に、求婚者たちが居座っている

ペネロペとテレマコスの屋敷に、再婚を求める男たちが居座っています。

出典 MIT Classics/Encyclopaedia Britannica

神々助ける力と、妨げる力が同時に働く

アテナは父子を助け、ポセイドンは帰り道を阻みます。どちらも善玉・悪玉ではなく、それぞれの思惑で動いています。

出典 Dickinson College Commentaries/MIT Classics

人物

オデュッセウス帰ろうとする人

イタケの王。帰郷を望みますが、第1〜4歌では本人は場面に現れません。

ペネロペ:夫婦テレマコス:父子アテナ:助けられるポセイドン:妨げられる

出典 Dickinson College Commentaries/MIT Classics/Encyclopaedia Britannica

ペネロペ待つ人

オデュッセウスの妻。イタケで夫を待ち、求婚者に再婚を迫られています。

オデュッセウス:夫婦テレマコス:母子

出典 MIT Classics/Encyclopaedia Britannica

テレマコス動き出す人

オデュッセウスとペネロペの息子。第1〜4歌で、父の消息を求めて旅に出ます。

オデュッセウス:父子ペネロペ:母子アテナ:励まされる

出典 MIT Classics/Encyclopaedia Britannica/岩波書店

アテナ助ける神

オデュッセウスの帰還を助け、テレマコスを励ます女神です。

オデュッセウス:援助テレマコス:激励

出典 Dickinson College Commentaries/MIT Classics/Encyclopaedia Britannica

ポセイドン妨げる神

海の神。オデュッセウスへの怒りから帰郷を妨げます。

オデュッセウス:妨害

出典 Dickinson College Commentaries/MIT Classics/Encyclopaedia Britannica

求婚者たちは一人ひとりを覚えなくても大丈夫です。イタケの家に居座る一団、とだけ押さえておけば読めます。

どこから読む? 24歌の見取り図

第1〜4歌

息子テレマコスの旅

求婚者たちが居座るイタケの家から、物語は始まります。息子のテレマコスが、父の消息を探しに旅に出ます。

ここから読む

第1歌だけでも。もう少し読めそうなら、第4歌まで。

第1歌の英訳を読む(MIT・英語)

第5〜8歌

オデュッセウス登場

ようやくオデュッセウス本人が出てきます。カリュプソの島を離れ、海を渡ってパイエケス人の国に流れ着きます。

第9〜12歌

本人が語る冒険

キュクロプス、キルケ、冥界、セイレン。よく知られた冒険の多くは、ここでオデュッセウス自身の口から語られます。

第13〜24歌

イタケに帰ってから

故郷に戻ったオデュッセウスは、身なりを変えて自分の家に入ります。その先は、読んでのお楽しみに。

出典 Britannica/松平千秋訳・上巻/同・下巻

最初の一行と鍵になる語

ἄνδρα μοι ἔννεπε, μοῦσα, πολύτροπον

andra moi ennepe, Mousa, polytropon

多くの道を知る男について、ムーサよ、私に語ってください。

ἄνδραandra

男を/男について

詩の最初の語。固有名より先に、一人の男の輪郭が置かれます。

出典 Dickinson College Commentaries

πολύτροπονpolytropon

多面的な、多くの道・手管をもつ

ひと言では訳しきれない語です。この幅がそのまま、主人公の多面性になっています。

出典 Dickinson College Commentaries

ΜοῦσαMousa

詩の女神(ムーサ)

語り手が「語ってください」と呼びかける相手です。

出典 Dickinson College Commentaries/詩と詩人

νόστοςnostos

帰還・帰郷

長い詩を貫く中心的な主題の一つです。

出典 Encyclopaedia Britannica

in medias resイン・メディアス・レス

事態の途中から語り始める

物語は途中から始まりますが、本は第1歌から開いて構いません。

出典 Encyclopaedia Britannica/詩と詩人

ἑξάμετροςヘクサメトロス

六歩格

音節の量をもとに、一行を六つの韻脚で運ぶ原詩の韻律です。

出典 Encyclopaedia Britannica/Harvard Classical Continuum

どこから読むか

本文から入る

まず第1歌の冒頭へ。予習はここまでで十分です。

  1. 五人の配置を確認する
  2. 第1歌を開く
  3. 続けられそうなら第4歌まで読む

出典 MIT Classics/Encyclopaedia Britannica/詩と詩人

第1歌の英訳を読む(MIT・英語)
映画を観る前に

人物の役割と、海とイタケの二つの舞台だけを手元に置きます。

  1. 現在地を30秒で見る
  2. 五人の関係を確認する
  3. 記事で背景を読む

出典 MIT Classics/Encyclopaedia Britannica

入門記事を読む
映画を観たあとで

映像の順番から離れて、古代の詩がどこから語り始めるかを確かめます。

  1. 24歌の構造を見る
  2. 冒頭の一行を声に出す
  3. 第1歌から読み始める

出典 Dickinson College Commentaries/Encyclopaedia Britannica

冒頭の原文を開く
背景から入る

叙事詩の語り方と六歩格を知ってから、本文へ進みます。

  1. 叙事詩の用語を読む
  2. 六歩格の一行の長さを知る
  3. 第1歌を開く

出典 Harvard Classical Continuum/詩と詩人

叙事詩の用語を見る

出典

  1. Odyssey I.1-43Dickinson College Commentaries

    冒頭のギリシャ語、ムーサへの呼びかけ、主要語

  2. The Odyssey, Book IMIT Classics

    第1歌の家、家族、求婚者、神々の状況

  3. OdysseyEncyclopaedia Britannica

    24歌、語りの構造、口承伝統、成立と帰郷の主題

  4. Are the Odyssey and the Iliad connected?Encyclopaedia Britannica

    二作に共通するトロイア戦争の背景と異なる中心人物

  5. 『オデュッセイア 上』岩波書店

    第1歌から第12歌、松平千秋訳、書誌情報

  6. 『オデュッセイア 下』岩波書店

    第13歌から第24歌、松平千秋訳、書誌情報

  7. An Etymology for the Dactylic HexameterHarvard Classical Continuum

    音節量と六つの韻脚による原詩の韻律

  8. 叙事詩とは詩と詩人

    叙事詩、インヴォケーション、in medias res

第1歌を、開いてみる。

第1歌の英訳を読む(MIT・英語)入門記事を読むページの先頭へ